ホテル・旅館
東京で旅館業許可を取るには何か月・いくらかかる?流れと費用の内訳
東京23区で旅館業(簡易宿所・旅館・ホテル営業)の許可を取るまでの手順、区が示す期間の目安、申請手数料、費用が膨らむポイントを整理します。
東京23区で旅館業の許可を取るまでの期間は、建物の工事を除いても、事前相談から許可まで数か月を見込むのが現実的です。区の示す目安では、施設が完成してから許可までに土日祝を除いて20日(北区)かかり、その前の調査・設計・消防や建築との調整・工事の期間は建物によって大きく変わります。申請手数料そのものは数万円ですが、費用の大半は消防設備・建築の適合工事と専門家への報酬で、建物によって大きく変わります。
要点
- 流れは「事前相談 → 近隣周知 → 建築・消防との協議 → 申請 → 現地検査 → 許可」
- 台東区の目安:立入検査で問題がなければ、検査後1週間〜10日程度で許可(学校等の近くで関係機関への照会が必要な場合は、照会に通常1〜1.5か月)
- 北区の目安:施設完成から土日祝を除き20日(関係機関への照会がある場合は48日)
- 申請手数料は区ごとに違う(例:北区・新宿区・大田区は簡易宿所16,500円、旅館・ホテル30,600円)
- 費用を大きく左右するのは消防設備と建築基準法への適合工事。購入前の調査で見通しを立てる
許可までの流れは?
答え:保健所への事前相談から始まり、建築・消防の基準を満たしたうえで申請し、保健所の現地検査に合格すると許可が出ます。区によって順番や名称は少しずつ違いますが、骨組みは同じです。
台東区の手引きでは、事前相談のあと工事着手前に近隣住民へ周知し、その報告書を提出します。北区も、用途地域の確認と近隣周知を申請前の手順に置いています。大田区は事前相談が予約制で必須、オンライン申請はできません。
- 1
用途地域・物件の確認
旅館・ホテルが建てられる地域か
- 2
保健所に事前相談
図面を持参。区によって予約制
- 3
近隣への周知
工事着手前。報告書を提出する区が多い
- 4
建築・消防と協議
建築課(指定確認検査機関)と所轄消防署
- 5
工事・申請
申請書・図面・手数料を提出
- 6
検査
建築・消防の検査に適合後、保健所の施設検査
- 7
許可・営業開始
許可書の交付
期間はどのくらい?
答え:区が示す目安は、施設が完成してから許可まで約1か月(北区:土日祝を除き20日)です。その前の物件調査・設計・建築や消防との調整・工事にかかる期間は建物によって大きく違い、ここが全体の長さを決めます。
北区は、施設完成から土日祝を除いて20日、関係機関への意見照会が必要な施設では48日を目安としています。台東区は、立入検査で問題がなければ検査後1週間〜10日程度で許可になるとしています。また台東区では、学校等から110m以内の施設は関係機関への照会が必要で、その照会に通常1か月〜1か月半かかります。
時間がかかりやすいのは、申請の前の段階です。用途地域が合わない、避難経路や階段の区画が基準を満たさない、消防設備の追加が必要、といった問題は図面の段階で見つかることが多く、設計の手戻りがそのまま遅れになります。
| 区 | 段階 | 目安 |
|---|---|---|
| 台東区 | 学校等から110m以内の場合の関係機関への照会 | 通常1か月〜1か月半 |
| 台東区 | 立入検査から許可まで | 1週間〜10日程度 |
| 北区 | 施設完成から許可まで | 土日祝を除き20日 |
| 北区 | 同上(関係機関への意見照会がある施設) | 土日祝を除き48日 |
申請手数料はいくら?
答え:簡易宿所で1万円台、旅館・ホテル営業で2〜3万円台です。金額は区の条例で決まり、区によって違います。
| 区 | 旅館・ホテル営業 | 簡易宿所営業 |
|---|---|---|
| 北区 | 30,600円 | 16,500円 |
| 新宿区 | 30,600円 | 16,500円 |
| 大田区 | 30,600円 | 16,500円 |
| 中央区 | 22,000円 | 11,000円 |
費用を大きく左右するものは?
答え:手数料よりはるかに大きいのが、消防設備の設置と、建築基準法に合わせるための工事です。どこまで必要かは建物の階数・面積・階段の数・構造で決まるため、物件ごとに見積もるしかありません。
用途変更する部分が200㎡以下なら建築確認の申請は不要ですが、基準に適合させる義務は残ります。「確認申請がいらない=工事がいらない」ではない点に注意してください。
- 消防設備:自動火災報知設備(小規模なら特定小規模施設用)、誘導灯、消火器、防炎物品など
- 建築:階段の区画(竪穴区画)、避難経路、内装制限など。3階建ては特に要確認
- 設備:玄関帳場(フロント)またはその代わりの設備、トイレ・洗面などの数
- 専門家:建築士(図面・適合確認)、行政書士(申請書類)、消防設備業者
- 近隣対応:周知のための説明や書類の作成
期間の組み立て例
下の例は、区の目安を当てはめて期間を組み立てたものです。実際の案件の数字ではありません。
計算例
例:北区の戸建を簡易宿所にする場合の組み立て(説明用)
- 物件調査・用途地域の確認・事前相談:2〜4週間
- 建築士の図面作成と、建築課・消防署との事前相談:建物による(基準に合わない点が見つかると設計の手戻りが出る)
- 工事:建物による(設備の追加だけで済むか、区画工事が必要かで大きく変わる)
- 施設完成から許可まで:土日祝を除き20日(北区の目安)
- 学校等が近く関係機関への照会が必要な場合:北区の目安は48日に延びる
区・建物・工事内容によって大きく変わります。購入スケジュールを組む前に、物件ごとの確認が必要です。
よくある失敗
- 購入してから用途地域を調べ、旅館業ができないと分かる
- 「200㎡以下だから手続きは簡単」と考え、消防・建築の工事費を見込んでいない
- 近隣周知や事前相談の予約待ちを計算に入れず、開業日を先に決めてしまう
- 区の条例(帳場の常駐、学校からの距離など)を確認していない
出典・参考資料
よくある質問
旅館業許可の標準処理期間は決まっていますか?
「標準処理期間」という名称で公表している区は確認できませんでした。北区は施設完成から土日祝を除き20日、台東区は検査後1週間〜10日程度といった目安を示しています。
外国人や海外在住でも許可を取れますか?
旅館業の許可は営業者に対して出るもので、国籍の要件はありません。ただし事前相談や検査への立会い、緊急時の対応体制など、国内で動ける体制が必要です。
物件を買う前に、許可が取れるか分かりますか?
用途地域、道路、避難、消防などは、図面と公開情報である程度判定できます。当社の「ホテル・民泊 開業診断」で、購入前に確認できます。
許可が出たあとに名義を変えられますか?
旅館業の許可は営業者ごとのため、営業者が変わる場合は区の手続きが必要です。相続・合併・分割・事業譲渡の場合は、許可を引き継ぐ承継の手続きがあります。事前に保健所に確認してください。
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